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心臓病と漢方薬の話その2.やくろう版

心臓病と漢方薬 6. 心臓病と漢方薬の “寒”“熱” “虚”“実”

2014年05月01日

―日本においては、心臓病は生命に関わる疾患であるため、
(日本では、) ほぼ100%現代医学(西洋医学)による治療が行われている。―

「狭心症」;ウィキペディアより、、、

  • やくろうは、自分の身に起こった病気だから、漢方薬を飲むことが出来ました。
    • 自分以外では、あり得ません。 いい経験でした。
      もっとも、結果は失敗でしたが、、、。

      でも、、、、
      でも、、、、

      ケガや病気は、いつも、医療以前です。
      目の前の病気に、医療は待っていられません。
      心臓外科成立のはるか以前から、心臓病はあるのです。
      当然、漢方も、それなりに、対処してきました。
      そして、古臭い伝統医療には、心臓病に関しても、
      捨て去るには、まだまだ、もったいない発想があるように思えます。

      つまり、漢方の治療法には、
      慢性期や、  手術後の生活や、  薬の投与方法などで、
      医療を補い得る、ヒントがあるようにも、感じられます。

      例えば、漢方の、例の、
      ”“” や、“”“” という、病状の理解の仕方です。

      そこでは、心肥大や、心筋の浮腫を解消させるために、
      利尿剤 (≒利水剤(りすいざい);過剰水を処理する) を用いても、
      “寒”“熱” が違えば、180度違った薬となります。

  • 心肥大が
    • ① 全身の血流増大要請に応じて、心臓がオーバーヒートしてしまった結果なら
        (“熱” です。)
        モクボウイトウ(木防已湯)のような “冷やす漢方薬” を用います。   (注1)

      一方、症状が同じでも、
      ② 心臓の筋肉の代謝エネルギー不足の積み重ねが、心浮腫の主原因に思えたなら、
        (“寒”です。)
        ニンジントウ(人参湯)のような “温めて、心筋を応援して、
        過剰水をさばく、漢方薬” を利用します。               (注2)

  • また、狭窄部の状態が、
    • (1) 血栓を押し込めすぎて、血管が、目いっぱいに張り詰め、
        動きが取れないように思えたなら、
        (“実”です。)
        サイコカボウショウトウ(柴胡加芒硝湯)のような、
        “緩める” 漢方薬を用いるべきで、                   (注3)

      (2) 血管の弾力性がなくなって、冠動脈が、心筋に引きずり込まれ、
        内側にひしゃげられたままで、詰まり気味なのなら、
        (“虚”です。)
        トウキケンチュウトウ(当帰建中湯)のように、
        血管=平滑筋の力を復活させて、血栓とのスキ間を空けようとするでしょう。
        (この場合、“引き締める” 漢方薬とも、言えます。)          (注4) 

      漢方では、病気の時、よく似た薬草を用いて、全身の生理作用を動員して、
      薬物治療の方向性やら、
      生命力の雰囲気を変化させて、
      組織間の平衡を企(はか)ることで、困った病状を、解決しようとします。

      そのためには、大きく全身を眺めざるを得ないでしょう。          (注5)

      これが、漢方の “五行説” の意図する1つです。
      それは、健康の1つの定義でもあり、
      病気を克服したり、
      あるいは、より良く、寿命以上に長く、病気と共生していこうとする、
      生命の本質に対する考え方のように思えます。               (注6)

      だから、もともと、
      QOL”(クオリティオブライフ;生活の質(の向上))
      ー病気であれ、治療であれ、
      そのひと、そのひとの生活の質が大切である、、ー が、肝要です。     (注7) 

      (注1.) 例えば、激しい運動中の心臓発作に至る過程と、その治療後。
        以下、同じです。
      (注2.) 例えば、昼寝中や糖尿病などから併発の心臓発作、〃。
      (注3.) 例えば、多くの、激痛を伴う、突然の心臓発作、〃。
      (注4.) 例えば、連日の過労や過剰ストレスの結果など、
        痛みがほとんど無いこともある、緩慢な、わかりづらい心臓発作、〃。

心臓病と漢方薬 7-1. 心臓病での 漢方(薬)の “水” と “寒” “熱” Ⅰ

心臓病での漢方(薬)の “水” と “寒”“熱” Ⅰ.

  • 漢方での、 “水” の、 “熱”  に対する作用
    • 漢方では、“気、血、水” の “水” の、“熱” に対する作用の1面を、
      次のように理解しています。

      1)-1. 過剰な熱があれば、冷やすために、水分が、集まるものである。

      あるいは、発熱が強力な場合は、
      1)-2. 発熱患部の周りに水の層を作って
      反応の場を限定して、発熱による害毒の拡散を防ごうとする、、、と。

      今、心臓はオーバーヒート気味の過熱状態で、浮腫(むく)み、肥大化しています。
      狭まった冠動脈は、ますます圧迫されます。
      冠動脈の狭窄部以遠の心筋は、
      酸素不足になり、動きが鈍く、それで、また鼓動の過熱り、、、、、
      、、、、、
      悪循環です。

  • ①モクボウイトウ(木防已湯)の働き
    • ①モクボウイトウ・・・
      まず、セッコウで冷やし、心筋の反応性を鈍くします。
      心臓は、ブレーキが掛かり、ほっと一息付けられます。

      ボウイは、冷(さ)まされて、
      染み出した用済みの水を、組織に沿って、竹ぼうきをかける様に、掃(は)き出します。
      多量のニンジンは、あらためて、心筋をリフレッシュし、
      収縮力や代謝産物の処理能力を回復させます。
      それに伴って、冠静脈~心臓へと、水の排出を促します。
      ケイヒは、この時、汗腺を開閉し、
      体表~毛細血管側を陰圧気味に調整して、
      心臓で過剰となった水分の移動を誘います。
      その結果、末梢血流~全身の血流も改善され、
      心臓の負担が和らげられます。
      ケイヒは、ごく弱い、末梢血管拡張剤と同等の効果でもあるでしょう。
      また、多量のニンジンは、疲れ気味の全身組織の代謝効率を高めて、
      この点でも、心臓の負担を減らすことでしょう。
      こうして、心臓は、ちょっぴりスマートになって、、、
      心筋は体勢を立て直し、冠動脈への圧迫圧力を減らす、、、
      ことでしょう、、、。
      水を取るために冷やす」 訳です。
             (注8.)

心臓病と漢方薬 7-2. 心臓病での 漢方(薬)の “水” と “寒” “熱” Ⅱ

心臓病での 漢方(薬)の “水” と “寒” “熱 Ⅱ.

  • 漢方での “水” の、“熱” に対する理解の3番目は、
    • 1)-3. “水” というものは、停滞すれば、熱を奪う。
      そして、機能低下を招く、、、です。

      良く解かりませんが、例えば、
      心臓の組織内浸透圧が相対的に高く、そのためにに浮腫をきたしたような状態です。
      これは、“血” の停滞とは、直感的に、正反対です。
      機能低下の結果は同じですが、、、。

      今、心臓のイメージは、巨大ポンプの周囲に発電ボイラー群の並んだ機械室です。
      そして、薄暗い床下などには、冷えて、動きの鈍くなった機械から、
      処理遅れの老廃物が漏れて、行き所がなくなって、
      水たまりと化して、あちこちに、澱んでいるでしょう。

      例えば、糖尿病が進むと、全身の活力が低下しているので、鼓動も抑え気味のところに、
      血管内から糖や、イオン、糖化物、脂肪類などがあふれて、
      心筋~間質組織に入り込むでしょう。
      そして、これら未利用の物質のために、例えば、
      高浸透圧になり、心臓は、浮腫状態となることでしょう。
      これでは、せっかくの発熱も、過剰水の保温に取られ、
      エネルギー源はあるのに、
      エネルギー↓、熱産生↓ です。
      冷えると、神経信号も、伝達が遅れ、微弱化して、猥雑物に紛れて放散され、
      不整脈の原因になるかも知れません、、、。
      圧迫され、冠動脈の狭窄部以遠の心筋は、酸素不足になり、
      ますます、動きが鈍く、熱産生↓、、、。
      それでまた、栄養や老廃物の処理も遅れ浮腫となり、、、、、
      悪循環です。

  • ニンジントウ(人参湯) の働き。
    • ニンジントウ(人参湯) の働き。
      ②ニンジントウ・・・
      まず、カンキョウで、温め、組織を活動的にします。
      心筋も、温められて、潜在力を呼び覚まし、ニンジンの応援を得て、力強いことでしょう。
      すっきりと温(あたた)まって、毛細血管や赤血球も、
      ミトコンドリアも動きが良くなることでしょう。

      一方、ビャクジュツも、血管を温めて、膜の透過性やら、血管壁の出入余力を向上させて、
      心臓周辺の過剰水を、老廃物と共に心臓~血管側へ導いて、排出を促します。

      組織温↑、水排出↑、代謝↑、酸素供給↑、、、、熱産生↑、組織温↑心筋↑、、、
      、、、
      ~好循環が望み得ます。

      一方で、ニンジンは全身の沈滞した組織を力づけ、
      基礎代謝を上げて、浮腫原因物質の消費を促します。
      すると、心臓の負担も軽くなるでしょう。
      きっと、カンキョウやニンジンが刺激、応援して、その結果、
      全身で、それぞれ、組織温を0.00001度上げようとするだけで、生命力は増す、、、、
      、、、ハズです。

      こうして、心臓は、ちょっぴりスマートになって、、、
      心筋は体勢を立て直し、冠動脈への圧迫圧力を減らす、、、
      ことでしょう。
      水を取るために温める」 訳です。     (注8.)

  • ボウイとビャクジュツの違い;
    • ボウイとビャクジュツの違い

      全身で熱産生の盛んな浮腫の場合、水が必要な組織も多いでしょう。
      発汗による気化作用で、熱が奪われることで、(末梢血、冷→静脈→心臓冷→全身冷、、、、)
      全身を冷却する、という効率的なシステムにも、少量にしろ、水が必要です。
      だから、①の場合は、ケイヒが必要でしょう。
      また、この場合、セッコウで冷やして、生じた心臓の余剰水は、
      ボウイで集め、掃くように、大静脈に流し込むだけで、良いでしょう。

      反対に、機能低下に陥り、能力不足で、全身の水分排出が充分でないような浮腫の場合は、
      水分を調節しながら、腎機能を高め、水分の行方を膀胱まで、大量に追えるような、
      ビャクジュツが適しているでしょう。
      そして、本来的に、冷えて、水分が多くなると、機能の低下しやすい、
      肺や、腎臓の応援(=心臓病の拡大や、併病を防ぐ、、) にも、
      カンキョウとビャクジュツの両者が有益で、
      ②の場合、適切と言えるでしょう。

      (注*.) 

      ボウイ ; 「味辛平、外の中(=外の開閉)にゆく。」  『方術説話』 荒木性次著。
      また、ボウイ ; 「気を増し外部に在る水を利す、故に、風水、皮水を治し、身重きを主る。」 
      そして、ビャクジュツ ; 「水をさばき、その滞りを除き、小便を整う。小便不利、自利を治す。」
      共に、『新古方薬のう』 荒木性次著。

  • (注6.) (注7.) “五行説” と “QOL”
    • 2014年06月30日

      例えば、
      ーー生命を、表面に、肝、心、肺など、体の機能を書いた円盤に例えると、
      生命力は、赤ちゃんが最上位、死期が近づいた人は、地上すれすれの地点です。
      円盤を、水平な  “健康状態”  に保つのが漢方の極意です。ーー
      ー中六薬局ホームページトップより、ー

      7の1.)では、円盤の “心” の位置が、突出して、上に引き上げられて、
      7の2.)では、円盤の “心” の位置が、重く、下に引き下げられて、
      共に、円盤が歪められて、浮揚力が瑕疵(かし)し、
      健康=平衡を保てず、落下しはじめて、生命力を損(そこ)ねます。

      漢方薬は、全身に協力を要請し、
      7の1.)では、円盤の とんがった “心” を押さえ、
      7の2.)では、円盤の ずり下がった “心” を引き上げて、
      共に、平衡を保持し、健康を回復させようとします。

      ちなみに、円盤の浮揚力を高め、生命力そのものを上昇させるのは、
      精神、肉体や食事、行動など、凡そ生命生活の質や活力にあると考えます。
      これは、遥かに、漢方薬を超えたものでしょう。

      (注8.) 薬草の、冷やす作用、温める作用という生理反応自体、経験に基づくものです。実際に、どんな力が働いているのかは、不明です。恐らく、反応は一つに限らず、多層、多重に働く、多種の作用の複合結果であることが多いでしょう。

心臓病と漢方薬 8. 心臓病での 漢方(薬)の “血” と “虚” “実” Ⅰ

血栓の解消法

  • 血栓の解消法
    • 2014年11月10日

      生命とは、流れるような物質変遷の過程、
      生命体とは、絶えず、“流れ” ているものなのでしょう。
      そこでは、渋滞は、大いなる不都合です。

      血管内の血流の場合、“流れ” が、渋滞すると、澱みます。
      澱めば、血塊が出来やすくなります。

      その結果、万一、脳や、心臓で詰まると、致命傷です。

      漢方薬の血栓に対処する方法も、次のようなものでしょう。

      血栓の図

      ① 血圧を上げること、
      ② 血塊を砕くこと、
      ③ 血管への圧迫を除くこと、
      ④ 血管の弾力性を保つこと、
      ⑤ 血管内部の膨張を減らすこと、
      ⑥ ②への過剰圧迫を、少し抜くこと、
      ⑦ 陰圧にすること、

      さて、通常の動脈血圧は、心臓が収縮する時、最大になります。
      最高血圧が、これです。
      従って、脳血栓や、動脈、静脈瘤などの場合、これでいいのでしょうが、
      冠状動脈の場合は、やや、異なります。
      と言うのも、冠動脈血は、心臓の拡張する時に、流れるものだからです。

      心筋に酸素と栄養を運ぶ血管は、
      心臓表面部では、頭の冠のようにへばりついており、
      そこから、内側の心筋内部に張り巡らされています。
      だから、心臓の収縮期には、ひしゃげられ、
      血管中の血液を、体の静脈~心臓へと追い出す方向になります。
      さもなくば、心筋は、充分収縮ができないでしょう。

      次に、心臓が自身に血液を入れるために拡張する際に、
      動脈血が逆流しないよう弁が閉じられます。
      そして、
      この時の、まさに、動脈の逆流圧力によって、
      ようやく、冠状動脈に、血液が流れ込むわけです。

      通常とは、正反対です。

      だから、①の血流圧を上げるためには、③の心筋からの圧迫圧を下げることと、
      ④の血管の弾力性が、より重要なポイントとなるでしょう。
      上記、心臓病と漢方薬 7 の話は、③が中心課題です。

申し訳ございません。しばらくお待ちください。編集中です。

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